2020/12/16 コラム
転職年齢の限界は何歳?平均や年代ごとの転職事情
転職したいと思う年齢は人それぞれです。新卒で入社した企業に長く勤め、30代後半になってから初めて転職を考える、という人も少なくないでしょう。
そんな時、ふと不安を感じるのが「転職する年齢の限界は何歳なのか」という問題。
転職市場では、「35歳の壁」などの言葉にもあるように、年齢を重ねるにつれて転職が難しくなってくるとも言われています。
この記事では、転職者の平均年齢や限界年齢について、性別・職種に分けて詳しく解説します。
年代ごとに意識するべきポイントも合わせてお伝えしますので、ご自身の年齢におけるポイントもしっかりと把握し、失敗しない転職にチャレンジしましょう。
この記事のポイント
- 転職に限界年齢はない!が、年齢に合ったスキルや経験は重要
- 転職年齢の平均は年々上がっている
- 2020年の転職者平均年齢は32歳
- 職種によってもベストな転職年齢は変わる
目次
転職に年齢制限はある?
結論からお伝えすると、転職する上での明確な年齢制限はありません。
数年前までは、ある程度年齢を重ねてからの転職は難しいと言われていましたが、現代では、有効求人倍率とビジネスパーソンの平均年齢も上昇傾向で、以前ほど高年齢の転職が難しいということはないでしょう。
少子高齢化の影響もあり、企業が求める能力や将来性さえあれば、年齢にかかわらず理想の転職は可能であると考えて問題ありません。厚生労働省による調査でも過去10年ほどで35歳以上の転職者の数は大幅に増加しています。
(参考:厚生労働省|雇用を取り巻く環境と諸課題について)
ただし、ここで気を付けなければいけないのは、「年齢が高くなればなるほど、求められるスキルや知識も多くなる」ということ。
30代以上は即戦力として見られるのはもちろんのこと、マネジメント経験や一定以上の実績・経験がある前提でとらえられることがほとんどです。
ハイクラス転職を意識する場合は特に、年齢が上がるほど理想とする給与も高くなるでしょう。
採用する企業側としても、高い給与を支払うのであれば、「即戦力になり得る人材」「入社直後にマネジメントができる人材」などを求めることが多く、その分選考の目も厳しくなる傾向があります。
転職をする際は、年齢が高いことだけを気にするのではなく、年齢に応じたスキル・経験があるか、ということを特に意識するようにしましょう。
30代から未経験の業界・職種へ転職を考えている場合も転職難易度が上がる傾向にあります。
20代と比べ、やる気やポテンシャルの高さだけで採用される可能性は低くなってしまうため、実務経験がない場合でも、最低限、業界知識をしっかりつけてから転職活動をすることをおすすめします。
2020年の転職年齢。コロナでどう変わる?
(参考:doda|コロナでどう変わった? 転職成功者の年齢調査)
大手転職サイト「doda」のリサーチによると、2019年と2020年で転職成功者の年齢を比較すると、
・24歳以下:10.3%→9.4%(0.9pt減)
・25~29歳:39.4%→38.8%(0.4pt増)
・30~34歳:23.2%→23.4%(0.2pt増)
・40歳以上:14.3%→15.5%(1.2pt増)
という結果になっています。
若年層の転職人数が減り、ミドル層以上の転職人数が増えている、ということが分かりますが、これはコロナ禍の影響が出た結果とも考えられます。
多くの企業において、売上を含めた経営状態の悪化傾向があり、将来性やポテンシャルよりも即戦力採用に注力しているということが見て取れます。
2021年4月現在においてもコロナ収束の見通しはいまだ立っていません。今後も即戦力採用の傾向はより強まっていくことが予想され、ミドル層以上のハイクラス転職のニーズは、企業側、求職者側どちらにおいても高まっていくでしょう。
転職者の平均年齢
ここからは、転職者の平均年齢を
・全体の平均年齢
・職種別の平均年齢
・性別ごとの平均年齢(男性平均・女性平均)
の3つの観点から見てみましょう
全体の平均年齢
2020年、全体での転職者の平均年齢は32歳となっています。
これは過去12年で見ても最も高い年齢となっており、2008年時点の平均年齢29歳と比較しても、転職者の平均年齢は、年々緩やかに上がっていることがわかります。
年代別での転職率は以下の通りです。
年代 | 割合 |
20代 | 48.2% |
30代 | 36.2% |
40代以上 | 15.5% |
年代別で見てみると、最も転職者が多いのは20代の48.2%で、約2人に1人が転職している割合。30代の転職も36.2%と高い割合で、3人に1人以上が転職していることになります。40歳以上では15.5%となっていますが、40代以上が占める割合も年々増加傾向にあります。全体的に転職する平均年齢は高くなっていると言えるでしょう。
職種別の平均年齢
平均年齢 | 20代 | 30代 | 40代以上 | |
営業 | 30.2歳 | 61.5% | 31.6% | 6.9% |
販売・サービス | 28.9歳 | 53.9% | 35.5% | 10.6% |
クリエイティブ | 31.5歳 | 48.2% | 41.4% | 10.5% |
事務 | 30.6歳 | 45.8% | 40.9% | 13.4% |
専門職 | 34.4歳 | 42.9% | 41.6% | 15.5% |
企画・管理 | 35.0歳 | 39.3% | 41.0% | 19.7% |
IT・通信 | 32.6歳 | 49.6% | 36.0% | 14.4% |
電気・機械 | 32.8歳 | 47.2% | 37.9% | 14.8% |
医療・科学 | 31.7歳 | 46.2% | 39.9% | 14.0% |
建築・土木 | 33.4歳 | 38.3% | 36.2% | 25.5% |
職種別で見てみると20代の転職で最も多いのが営業で61.5%、次いで販売・サービスで53.9%と2人に1人以上が転職している傾向があります。
そのほかにもクリエイティブ、事務、専門職、IT・通信、電気・機械。医療・科学も40%を超えており、転職率が高めです。
30代ではクリエイティブ、専門職、企画・管理が40%越えとやや転職率が高くなっています。
職種別の全体を見てみても転職率が全体的に高くなっているようです。
男性平均
男性転職者の平均年齢は32.6歳です。
年代別での転職率は以下の通りです。
年代 | 割合 |
---|---|
20代 | 23.9% |
30代 | 16.6% |
40代以上 | 10.6% |
20代の転職率の割合が高くなる傾向があります。
その理由としては新卒者の離職率が高く、その結果転職する確率が高くなっていると考えられます。
転職するなら20代のほうがしやすく、チャンスが多い年齢層なので、そのチャンスを掴むべく転職するという方は多い傾向があります。
女性平均
女性転職者の平均年齢は29.8歳です。
年代別での転職率は以下の通りです。
年代 | 割合 |
---|---|
20代 | 32.2% |
30代 | 25.2% |
40代以上 | 24.8% |
男性に比べ、女性の転職率が高くなっています。
その理由としては、結婚して家庭に入る方や、正社員ではなくパートやアルバイトとして働く人が多いことが挙げられます。
「35歳の壁」は本当にある?
世間ではよく「35歳の壁」といわれており、転職するときに35歳以上は応募できる求人が減ってしまって、転職が難しくなるといわれています。
ですが、前述した通り、近年では少子高齢化が進んでいることから、転職者の平均年齢が上がってきています。
少子高齢化の影響によって若者が減少傾向であり、20代の採用がしにくく、慢性的な人で不足の現状があります。
そのため、今では30代以上の人材を採用したいと考える企業が増加傾向にあります。
また、転職者はある程度のスキルや知識があり、人材育成に割く経費や時間が少なくて済むことから中途採用を積極的に行っている企業が増え、その結果、転職者の平均年齢が上昇した理由の一つです。
また、以前は60歳が基本だった定年も65歳以上にする企業が増えることで、35歳が相対的に中堅よりも若手に近づいていることも、35歳以上の転職のハードルを下げています。
そのため、マネジメント能力や優れた実績などがない場合でも採用される可能性は十分あります。
今では「35歳の壁」はほとんどなく、35歳以上の転職者の数は増加、35歳以上でも転職が成功する可能性は大いにあるでしょう。
最適な転職年齢は業界・業種によっても異なる
業界によっては最適な転職年齢が異なります。
それぞれ分けて紹介します。
SE(システムエンジニア)
SEへの転職は20代~30代が最も適しています。
SEとしての実務経験があるのであれば、SEからSEの転職は問題なくスムーズにできるでしょう。
若く能力があるSEは将来性があり、即戦力としても期待できるため、どの企業からも求められる傾向があります。
また、SEでは年齢制限が比較的緩いことから、SEとしてのスキルや知識があれば、40代や50代といった方を募集していることがあます。
ただし、60代に近づいてしまうと求人案件は一気に減ってしまうので、注意が必要です。
年代によって求められるものが異なってきます。
20代は体力とスキルが必要で、バリバリ働く体力と意思、一定以上のスキルがあるかどうかが問われます。
SEは単純な仕事ではなく、場合によっては激務になることもあるので、それに耐えうる体力や忍耐力が必要です。
20代では体力があるかどうかが強く求められ、体力があるかどうかによって採用の可否が変わってくることもあります。
30代ではリーダーシップや今後のキャリアの方向性が求められます。
30代は一種の転換期のような年代で、今後の方向性を決めなければなりません。
その理由としては、SEを含めIT業界で必要になるすべてのスキルを習得するというのは、ほぼ不可能に近く、今後のキャリアの方向性を決める必要があるのです。
30代の転職活動において、「今までどんな経験をして、どんなものを積み上げてきたか」「これからのキャリアはどのような方向にしたいか」が重要であり、適切な回答ができないと採用が厳しくなることもあります。
外資系
外資系全般の企業は即戦力となる人材を求めている傾向があり、基本的には新卒採用を行っていないところが多くあります。
そのため、中途採用者が多く、転職がしやすい職種でしょう。
外資系の最適な年齢は20代後半~40代前後です。
20代後半であれば実務経験も3年以上となっているため、経験してきた職種であれば転職できる可能性はグッと上がります。
外資系では成果を重視する姿勢があり、経験年数やしっかりとした実務経験が求められます。
40代以降になると、ただ実務経験があれば良いというわけにはいきません。
若手にないマネジメントスキルが求められます。そういったスキルがあれば40代後半の方でも採用してもらえる可能性があります。
ほとんどの外資系では英語力が必須となり、英語力と実績に自信があれば、20代後半~40代前後が転職しやすい時期だといえるでしょう。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは新卒採用を行っていますが、中途採用者が多く在籍している傾向があり、その割合は7~8割が中途採用者です。
転職しやすい業種であり、コンサルティングファームへ転職する最適な年齢は20代前半~30代後半と幅広く転職活動することができます。
しかし、年代によって求められるものが変わってきます。
20代では多くの方が第二新卒として転職するでしょう。
一般的に第二新卒として採用される場合は、新卒とほぼ同じポジションでの採用となります。
求められるものは新卒と同様、コンサルティングの基礎知識やスキルがあるかどうかが問われます。
また、「なぜコンサルタントとして働きたいのか」「コンサルタントとしての素質はあるか」など、新卒の面接と変わらないようなことを求められるので、あらかじめ念入りに準備することが必要です。
30代では業界経験があることがある程度求められます。
20代に比べ、高いポジションでの入社となることが多く、高いコミュニケーション能力や業界に対する深い知識やスキルがより求められるでしょう。
30代でコンサルティングファームへ転職する場合「前職までの経験がコンサルティングファームにどのように役立つのか」「どのように役立てたいのか」という具体的な視点を強く求められます。
未経験からの転職。限界年齢は?
現代の転職市場が変化していることもあり、年齢だけを考えて採用するという企業は少なくなってきましたが、まったくの未経験の業種や職種に転職したいといのであれば、遅くても20代後半までにするのが良いでしょう。
その理由は、求人情報に載っている「未経験者歓迎」というのは主に20代後半までがメインターゲットとなっているためです。
30代以降で未経験の業種や職種にチャレンジする場合は、これまで経験してきたことから「自分の強み」や「活かせる能力」を考え、未経験の業種や職種に少しでも接点を探すことが重要です。
現代では転職する際に年齢よりも所持しているスキルや知識に注目する企業が多くなっていきています。
年齢の限界はなくなりつつありますが、逆に、どんなスキルがありどんな知識があるのかが問われ、自身のキャリアプランについて考える必要性があるでしょう。
たとえ若い年代で未経験の領域にチャレンジするとしても、今まで培ってきたスキルや知識が未経験領域に対して、どのように活用することができるかが理解していないと、採用してもらえる可能性は下がってしまいます。
今まで培ってきたスキルと知識が未経験の業種や職種にどのように役立って、どのように活かすことができるのかなど、接点を探すことが肝心です。
「Uターン転職」のベストな年齢
Uターン転職を行う場合、ベストな年齢は20代後半~30代前半です。
その理由としては、社会人としての基礎知識はもちろんのこと、ビジネスパーソンの一人として多くの経験を積み、さらに新しい知識やスキルを身に付けることができる伸びしろを兼ね備えた世代だからです。
ただし、適齢といっても必ずしもUターン転職がスムーズに進むとは限りません。
今までにどのようなスキルや知識を得てどのような能力があるのか、そういった能力を次の企業でどのように活かすことができるのかなど、しっかりしたキャリアプランがあることが重要です。
事情によって40代・50代でUターン転職する場合、転職難易度はやはり高くなってしまい、求められるスキルや知識が卓越したようなものなってしまいます。
しかし、地方の求人案件には地方ならではの事情があり、40代・50代でも人材を求めていることもあります。
【年代別】転職事情と必要なスキル
年代によって転職事情や必要になってくるスキルや知識が異なります。
年代別に分けて、それぞれ紹介します。
20代の転職
20代からの転職は、ほかの年齢よりも比較的転職難易度が下がる傾向があり、未経験の職種への転職でも採用される可能性は充分ありえます。
ただし、同じ20代でも前半・後半で企業が求めるスキルが異なることに注意が必要です。
20代前半の転職者の場合、第二新卒としての将来へのポテンシャルや、仕事への熱意が企業から求められます。専門的なスキルがない場合でも、人柄で採用されるケースも非常に多いため、異業種への転職を考える23~25歳の方は、現職の勤続年数はあまり気にせず、なるべく早い転職が成功の鍵となるでしょう。
20代も後半になってくると、ポテンシャル・熱意のほかに、ある程度の専門性的なスキルが求められるようになってきます。
しかし社会人経験が浅いことから、前職の企業に染まっていない(固定概念のない)という強みがあることも事実です。そのためスキルが若干足りないという部分については、若さと職場に馴染むのが早いという強みを活かして選考を乗り切りましょう。
30代の転職
30代からの転職となると、異業種への転職よりも自身のキャリアップを目指す転職が中心となります。また「30代からの転職は遅すぎる」と悩む方は非常に多い傾向がありますが、30代からの転職も35.9%と高い数字を記録しており、年齢が不利に働くことは多くありません。
ただし、異業種への転職は20代と比べると難易度は上がります。
30代になると企業からは即戦力としての期待が大きくなるため未経験の業種へ転職する場合「前職のスキルを異業種でどう活かせるのか」をアピールできなければ転職は難しいでしょう。
30代の転職のポイントは即戦力として活躍できることをアピールすることです。
20代のような熱意やポテンシャルのアピールは企業に響かなくなってくるため、「前職の実績」と「自身の持つ専門的なスキル」を客観的にアピールしましょう。
40代の転職
40代には若手にはない「長い社会人経験」という大きな強みがあるため転職が不可能なわけではありませんが、年齢の壁がないともいえない現状です。
募集ポストもハイクラスなものが多いため、一定以上の専門スキルはほぼ必須といえるでしょう。
ただし、40代の転職で企業から最も注目されるポイントは専門スキルではなく、マネジメントスキルです。豊富な経験を武器に戦えば年収アップも充分に期待できるでしょう。
なお、40代の転職が難しいといわれる大きな要因としては「前職での経歴に関するプライド」や「年収が下がることへの恐れが大きい」という2点が挙げられます。
40代からの転職は厳しいという固定概念に囚われず、転職先が求める人物像を見極めて熱意を持って転職に望めば、若手よりも有利に転職を進めることも充分可能といえるでしょう。
年齢が気になるなら、転職エージェントや転職サイトに相談を
年齢によって転職についての考え方は大きく異なります。
また、年齢が上がるにつれて、自分が理想とする条件も高くなるため、30代や40代の中には不利を感じる方も多いでしょう。
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年齢に合った理想のハイクラス転職は「doda X(旧:iX転職)」がおすすめ
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